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『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.1-感想

18000円は物理的には当然高い。それを大前提に初日も千秋楽も入っておらず、終盤(29・30日ソワレ)だけ齧ったらキャストの瞬間最大風速とかで18000円超えた時間もあった、ような気がするヒプステの感想まとめ。
いいか、18000円は高いんだぞ。





【公演情報】

ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.1-

原作:EVIL LINE RECORDS
脚本:亀田真二郎
演出:植木豪

キャスト
イケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”
山田一郎:高野洸
山田二郎:松田昇大
山田三郎:秋嶋隆斗

ヨコハマ・ディビジョン“MAD TRIGGER CREW”
碧棺左馬刻:阿部顕嵐
入間銃兎:水江建太
毒島メイソン理鶯:バーンズ勇気

アカバネ・ディビジョン“North Bastard”

堂庵和聖:岸本勇太
狐久里梁山:南部海人
蛇穴健栄:松浦司

ディビジョン・ダンス・バトル“D.D.B”
Toyotaka、RYO、gash!、SHINSUKE、HILOMU、Dolton、KENTA、GeN


【公演日程】

2019年11月15日(金)~12月1日(日)
東京都 品川プリンスホテル ステラボール

https://hypnosismic-stage.com/track1/





私の体感として一番近かったのはよみうりランドのヒーローショー。誤解があるといけないので補足すると、一眼レフ担いでオール明けに大好きなライダーのファイナルショー観に行く程度にはガワそのものに熱を上げてた人間が言ってます。キャスト的には8割くらいが概念赤ちゃんのカンパニーで、この座組で公演打っていいんだろうか………?みたいな気持ちにもなりましたけどw
各キャラへの信仰が強いオタクほど楽しめる構成だったし、なるほど2.5初心者向けにはかなり最適解のヒーローショーって感じでした。いっそのこと、あの10分やる割に盛り上がらない前説→一幕60分→休憩15分→二幕30分でトータル2時間以内に収めてくれたら良かったのにな!!!!というのはヒーローショーだと思ってみてる私の感想。ちょっとテンポ感が合わなくて、一幕100分がめちゃくちゃ長く感じました。
ただまぁ、ヒーローショーは毎週テレビ放送やっているからこそ、観客であるオタクが本編との繋がりを勝手に補完してくれるのであって、その辺りの雑さに定評があるヒプマイくん(褒めてる)でやっていいのかは微妙なラインかな……内容としては本家の大勢に影響のない範囲でのコミカライズ前日譚って感じだったのでいいのかな?(最後の一郎・左馬刻のやりとりがコミカライズ冒頭なので、前日譚だと認識してる)
ヒプマイくんに整合性とか求めてはいけない、と思ってだらだら展開追ってる私でさえ、理鶯がチーム結成後の左馬刻と銃兎を『貴殿』って呼ぶのさすがに気になったんだけど、これってコミカライズとかにありました?全体的にそっち発だったのかも。まぁこまけーことが気になるタチの人はそもそもヒプマイくんとは仲良くなれないので割愛します。

概念赤ちゃんがいっぱいで良かったところは、彼らは「人気原作の舞台に出演する」「人気キャラを演じる」「初めての2.5に挑戦する」という各々の努力目標に注力していて、観客の脳裏に常に浮かんでいる『18000円』という数字を気負ってないだろうな、と思えたところかな。当たり前なんだけど、今回の件は値段付けてる制作側の問題であって、彼らの芝居やらラップやらダンスやらには全額ペイする義務はないんですよ多分。
そう思うとお芝居に金払ってんじゃないのかな我々は……………みたいな原点に戻るんだけど、少なくとも『18000円』の中で役者勢が占める価値分の仕事は当然果たされていて、この辺りがキャストへの加点で18000円ペイできる!って層が一定数いる理由だと思うし、そこ以外ではペイできない( ◜◡◝ )これは後述します




というわけでまずはざっくばらんにキャストの感想。
ちなみにヒプステの一番ヒプマイくんっぽいところは「愚連隊」ってワードが台詞に3回くらい出てきた上にリリックにも出てくるところでしたね。H歴は平成初期というより幻の昭和70年頃なのかな。



【イケブクロ】

私にもう少し山田一郎くんのガワ信仰があれば…………という個人的悔しさはありつつも、木村昴さんヂカラのある説教ラップが大正解すぎた高野くん。2.5セオリーになってる原作の声・芝居にしっかり寄せてることが、赤ちゃんばっかりのカンパニーの中でいっそ浮き気味ですらあって、彼は正解を出してるだけなのに……と無駄にハラハラしてしまったんですけど。結果的に低め太め圧強めの声で芝居してきたのは、この説教ラップに物語のカタルシスとエモを生み出すためだったんだね……という謎の感動さえあった。他人から向けられた巨大感情にほどよく無頓着な山田一郎くんは、今回のストーリーみたいなエピソードが日常茶飯事なんじゃないかなって思えて、そういうところがいいんだよなぁってしみじみ。
ステの一郎くんは概念75kgくらいあるって聞いてたんですけど、これは別に高野くんが太いとかいう意味ではなくw確かに声も歩き方も一郎くんだけ質量があって、他のみんな大体ふわふわしてましたね。マイク使えなくなるところでライムかまそうと試みる辺りの重量感が特に良くて、2.5セオリーに則ったお芝居なのに動作に現実感が如実に出てるのが、高野くん個人のポテンシャルの高さ感じさせてくれました。

二郎ちゃんは股下から膝までの距離が長いタイプののっぽさんで、ダンスの足さばきがめっちゃ好きだった~~~~~テーピングしてるから色違うのかな?と思うくらいアキレス腱がしっかり浮いてる。くるぶしばっかり見ちゃった。
自分の観劇前に入ってた友達から予習用にCDもらって聴いてた中では声の感じが一番好きだな~と思ってたら、お兄ちゃんに対しての声が甘々のめちゃカワでにこにこしてしまった。でも、あんなに圧強めに怒られてるのに毎回懲りないのは一周回ってやばい。いい意味で中間子っぽいふにゃふにゃした感じがあって、2.5というよりリアル3次元の山田二郎ってこんな感じの子なんだろうな…って感じがしました。踊れる子ゆえにか、長い手足をだらーんと放り出してることが多くて、そういう空気抜けてる感じがリアル爆モテ高校生、みたいな。

三郎は概念ではなくガチ赤ちゃん( ◜◡◝ )こういう子がお兄ちゃんキャストたちの中でどうやって成長していくかを観察するのがおたくの楽しみなのに、右見ても左見ても概念赤ちゃんだらけだから割食っちゃってるほっぺたもちもちタイプの赤ちゃん。2階席で見てた回で一番後ろの通路まで来てくれたんですけど、完全に壁に阻まれてて、リングライトつけたかわいいおててだけぴょこぴょこ出たり入ったりしてたのが可愛かった。
二郎との勝負曲はコミカライズ特典のBB's Cityっぽさあるけど、こちらもリアル中学生っぽさ溢れてて、本家ブクロのラップスキルが上がりまくってるのもあって設定年齢を思い出させてくれましたw
これは三郎に限らずなんですけど、ブクロはキャラ性質的にも三人とも客席に向ける笑顔がキラキラしてたので、\おはブクロー!/をどこかに挟むべきだったね。日々の労働を応援してほしい。



【ヨコハマ】

あらんちゃんサマ、お芝居についてマイナスポイントを挙げられないわけではないんですけど、あの顔の造形と華奢っぷりが「そういうこまけーことはいいんだよ!!!!」って感じにさせてくれる力を持ってる。GIMME The Micラストの掛け合い、vs一郎のとこは生音なので表情筋に力入ってるんだけど、サビでかぶせになった瞬間スンッてなるのとか爆笑してしまった。素直すぎる。
私自身はあらんちゃんの前世とはほぼご縁なかったんですけど、公演期間中にインソールの概念を覆す勢いで盛られたという謎ヒールで下半身ほぼ固定の制約を受けてる中、可動域ハンパない上半身でかるーく踊るところで拍手喝采でした。あれにお花*1つけたいレベル。さすが。
ほぼほぼ中の人の感想になっちゃうんですけど、あらんちゃんサマ見てると舞台に立つ上で実は結構難しい部類に入るのは『その場に立って止まること』って話思い出した。理鶯と銃兎は結構ちょこちょこ動いてるんだけど(それはそれでお芝居として全然アリ)左馬刻は若干不思議な気持ちになるほど止まってる。よく言われてる『ハッタリ力』ってこういうとこから来てるんだろうなって思った。あと、あらんちゃんの場合顔の良さは表情込みなんだなぁっていうのがヒプステならではの気付きだったかも。左馬刻は割と不機嫌な表情多めなので、劇中フリースタイル入る寸前に舌舐めずりしてニヤッて笑うところとか、顎上げた時の悪魔っぽさ/ギャルっぽさとか、最後のニカッ!の時に画素数が爆上がりするのが面白かった。


イルマ=がんばれみずえちゃん=ジュート、実は音源時点で一番ヤバイと思ってた枠だったんですよね。CV駒田に寄らないことよりも、もともとの声質がCV沢城すぎることが今後2.5やる上でめちゃくちゃ根の深い問題すぎてwカンパニー全体でも2.5キャリアある方にカテゴリーされちゃってるけどまだ2役目だし、お芝居でうまいことカバーできるようになるにはまだ時間がかかるだろうし、どうするの!?っていう( ◜◡◝ )結果的には公演期間中にお芝居の方向性シフトチェンジすることで、なんとか折り合いつけてたみたいです。声のトーン合わせ捨てて声量に重点置いてたので、音源とハモってる状態だった銃兎。
日替わりとか客降りとか、経験値による余裕が生まれてるところも勿論あって、終盤の「銃兎にだけ振る舞ってやってくれや…」のとこで「りお~、私は昨日のコウモリがまだお腹に><」ってかましてきたの好きだったなぁ。結局毎日食べてるのかぁ……www
オープニングで左馬刻の次に出てくるとちょっとびっくりするくらい背が高いので(笑うところ)二幕のTrigger Offでも追いやすかったんですけど、ラストに客一人ロックオン~暗転まで表情変えず視線外さないところとか、単純に良かった。前楽ではハンドサインの銃をダンサーさん二人に向けられてることに気付いて、二人まとめて抱きかかえるように前方扉のとこ追いやって、ふふふwって笑ってたのもかわいかったね。


理鶯が赤ちゃんなのは原作準拠です!!!!!(バカデカボイス)背が高いので踊りはそんなにやらないのかなって勝手に思ってたんですけど、VACファイナリストなのにそんなわけなかったよね!wwハマで誰よりも踊ってる理鶯、普通にかっこよすぎて困る。2.5セオリー則ってる枠だったんですけど、なにせCV神尾で喋るとハマ2人と音域のバランスが良くなくて浮いちゃってたのがもったいない。こういうバランス見て整える、って工程通るとブクロもハマも大分据わりがよくなっただろうなぁ。
ハマ日替わりで理鶯があらんちゃんサマ困らせてるのが好きすぎたのでメモ残しておきますね。

【1129】
「スーツ似合ってんなおまえ…(銃兎のスーツ襟さわさわ」
「特注ですから(ドヤ」
理鶯登場
「小官はどうだ?(つなぎの襟ピッと立てて出てくる」
あらんちゃんサマ完全に困ってて客席大爆笑

【11/30ソワレ】
「おまえ、赤似合うな………さ、差し色に赤、いいと思うぜ(シドロモドロ」
「私も気に入ってるんです」
理鶯登場
「小官も赤だぞ(太腿のバンダナ指差し」
「お、おう、おまえも似合ってるよ。タンクトップも赤だしな」
その後料理振る舞う流れで「褒めてもダメか…」って独り言サマは前日もやってたらしい。



アカバネ

松浦司くんのダンスが見たいからヒプステ気になると言ってたおたく。君はヒプマイのおたくの次にこのヒプステを楽しむ素質があるぞ。アカバネが一番ラップ上手いのは音源の時点で間違いなかったのに、ラップだけじゃなくダンスもゴリゴリやるwwwwwいや、確かに動けるメンツだなぁと思ってたけど、劇中さえもラップとダンス同じくらい分量あったんじゃないかな?
単純にスキルレベルで言ったらアカバネがダントツ優勝なんですけど、なんで「ソツがない」って感想が散見されたかってもうそれはキャラの弱さに尽きるんですよね。これは役者の問題ではなく脚本の問題で、ヒプマイにおいて『軍で危険思想を問題視されたマッドサイエンティスト』レベルではキャラが立たない…!!!!!!!!一郎くん10年来の幼馴染(闇堕ち)や、左馬刻サマにシメられた経験ある半グレでは、キャラが立つとかいう以前の問題なんだ…!!!!!!!
芸人・教師・詐欺師僧侶・バンドマン・弁護士が新チームとして解禁されるキャラインフレの狂気にまったく太刀打ちできない。いやほんとなんなんだろこのコンテンツ。
なにかと大変なコンテンツのメディアミックス(過去に炎上済)にオリジナルキャラを絡める、という点ではかなり健闘したと思うんだけど、前述したとおり本家展開に影響を及ぼさない、という制約上これはもう仕方ない。既存キャラに割かなくてはいけない時間≒オリジナルキャラに割ける時間の限界だし、その中で存在感出せたのは個人のスキルのおかげとしか言いようがない。一郎とカズのデュエットが完全にOne Loveだったのとか、十分インパクトありすぎたよ。
あと一応言っておくと、カズにマイクとヒプノシスキャンセラー渡した『男』がシブジュク回のオリジナルディビジョンメンバーで〜とかなると、アカバネあまりにも可哀想なので大人しく飴村乱数さんのせいにしておこうね。





【18000円は高い】

お待たせしました。大前提なので小見出しにしておく。
私は「文句言う権利を買うためにお金を出す」って認識なので、払った人間は正直な感想言っていいと思ってます。で、一番これに腹立ってるポイントは、ぶっちゃけこれだけの額払って「つまんなかった!!!!」って言うのはかなり難しいよね、ってとこです。極論18000円じゃなかったとしても、人間の心理として自分が払ったお金をドブに捨てたって認めるのはそんなにハードルの低いことではなくて、そのハードルを飛び越えるくらいつまんなかったとかムカついたとか負の感情が溢れ出る時だけ可能になるんだと思うよ。なので、公演そのものは良かったけどそれはそれとして価格設定がおかしいだろ、って明言はした方がいいなと私は思います。

そういう意味で0円から加減式で評価すると、ステラボールで見切れも同額とか、グッズが鬼のようにいらないとか、観客と役者の努力ではどうしようもない点がマイナスなんだからマイナス決算になるんですよ。演出が豪華、って見解も見かけたけど、個人的には据え置きの稼働式セットとスクリーンを組み替えながらのプロジェクションマッピングだし、LEDスーツ×4着とヘッドセットは……幾らくらいかかるんだろうね。ダンサーさんたち含めてもカンパニーの全体人数と衣装替え無しを考えたら、やっぱり舞台自体は8000~10000円ちょいくらいなんじゃないかなと思う。ちなみに映像デザインも既存のもの以外はちょっとイマイチだったかな。
一方で、役者に課せられた価値分は完全に加点式なので18000円を超えられる。各キャラへの信仰が強いオタクほど楽しめるっていうのはまさにここです。ちなみに私は加点式にするとチケット代8000円、あらんちゃんサマにつけるお花10000円です。
最大減点ポイントは前説の「みんながゲットしたグッズ」ってワードです( ◜◡◝ )いいか( ◜◡◝ )我々は選択肢なくこのグッズを買わされてるんだぞ( ◜◡◝ )光りものを物販限定にするなら、グッズセット全部無くしてリングライト3つつければよかったんだよ……

ちなみに解禁時に一番謎だったヒプマイホーン、ほんとに原価10円なら10円引きでいいから配らないでほしいくらい要らなかったんだけど、あれ絶対一幕で
二郎「みんな!ヒプマイホーンでにいちゃんを応援してくれ!」
三郎「こっちのブロックの皆さんいきますよ!せーの!」\ブォ~/

みたいにすればよかったと思うよ(適当)


とか言ってる間にシブジュク解禁されたんですけど、キャスティングの方向性がハマブクロと全然違っててこれ4ディビジョン集まった時大丈夫か!?っていう心配ばっかりしてる( ◜◡◝ )年齢差
お芝居という点では満足度上がりそうな気はするし、第1弾を18000円にしてしまった以上は第2弾の値段変更するわけにはいかないので、ここまでは仕方ないと思うけど、ネルケは人気コンテンツにあやかろうとしたこの読み間違いを反省してほしい。グッズ会社になるならもっとセンス向上させてほしいし、舞台製作に携わる会社ならお芝居でお金とって。






そこそこ口が悪い感想になったなぁ( ◜◡◝ )なにかあればどうぞ
marshmallow-qa.com

*1:大衆演劇のご祝儀文化