『進撃の巨人』-the Musical-感想
やっぱ進撃ってめちゃくちゃ面白い話なんだよな………ということを再確認した。とはいえ1月のことなんてもう覚えてねーよ!!!!すぎるので、大体Twitter再掲です。
【公演情報】
『進撃の巨人』-the Musical-
原作:諫山創「進撃の巨人」(講談社「別冊少年マガジン」)
脚本:畑雅文
演出:植木豪
音楽監督:KEN THE 390
作詞:三浦香
出演
エレン・イェーガー:岡宮来夢
ミカサ・アッカーマン:高月彩良
アルミン・アルレルト:小西詠斗
ジャン・キルシュタイン:福澤侑
マルコ・ボット:泰江和明
コニー・スプリンガー:中西智也
サシャ・ブラウス:星波
ハンネス:村田充
キース・シャーディス:林野健志
ディモ・リーブス:冨田昌則
カルラ・イェーガー:舞羽美海
グリシャ・イェーガー:唐橋充
ハンジ・ゾエ:立道梨緒奈
リヴァイ:松田凌
エルヴィン・スミス:大野拓朗
Blade Attackers:Toyotaka、RYO、gash!、SHINSUKE、HILOMU、Dolton、KENTA、GeN、KIMUTAKU
下尾浩章
下川真矢
横田遼
橋渡竜馬
中西彩加
MARISA
松本ユキ子
陸
NONN
河島樹来
加藤貴彦
【公演日程】
2023年1月7日(土)~9日(月・祝)
大阪府 オリックス劇場
2023年1月14日(土)~24日(火)
東京都 日本青年館ホール
人を食らう巨人…その恐るべき存在から逃れるため、
人々は巨大な三重の壁を築き上げ、自由と引き換えに平和を手にした。
それから100年、突如として平和は崩れ去る。その日人類は思い出した
ヤツらに支配されていた恐怖を…鳥籠の中に囚われていた屈辱を……現れた超大型巨人により、人々の生活は蹂躙され、
大切な存在をも奪われていく。幼いエレンは巨人を見つめ、憎しみを込めて誓う。
駆逐してやる!!
この世から…
一匹残らず!!
そもそも進撃の巨人という物語が序盤も序盤からトップスピードでめちゃくちゃ面白い神作品なので、話を弄る必要なんかねぇんだよということを人類に思い知らせてくれましたね。普段、『原作そのままやるなら原作でいいだろ』派の私は『そりゃ進撃は1巻だけ読んでもめちゃくちゃ面白いんだから、順当に書けば面白くなくする方が難しいだろ』→『映画のことを思い出す』という脳内コンボをキメるなどしました。面白い作品をそのままやれるのも一つの才能だね。
舞台のストーリーが面白いのは完全に原作のおかげなんだけど、進撃未読の人が入り口として見るにもオススメだし、メディアミックスとしても2.5の代表作としても超絶優等生みたいな作品生まれちゃったな…………ってしみじみ楽しんでしまった。
これどこまで話進んでるんですか?って聞かれたんだけど、ほぼ3巻くらいまでかな。分量としては多くないのに全体の山場があるだけじゃなく、エレン・アルミン・ミカサそれぞれに見せ場もあって、ほんとにそのままやるだけでめちゃくちゃ面白いし構成が美しいので進撃はマジですげー作品です。
なにか特筆すべき舞台特有のことと言えばアニやライナーがいないんだけど、単純にカットになってるので単発舞台作品としてはすっきりしてるし、続編があった時にはしれっと追加できるだろうな~って感じだった印象。元々が情報量の多い作品なのもあり、ミュージカルにした割には各々の感情描写はさらっと流れていっちゃうな~~~という感じは否めなかったけど、エルヴィンやハンジといった『絶対カットできないけど出番が少ないキャラ』にごりごり歌える人を持ってきたことで、モブや影コーラスに厚みが出てて良かった。
訓練シーンの演出ががっつり『集団行動+ダンス』だったの面白かったな~と思ってて、訓練兵としての優秀度にバラつきがあるのでダンススキルにもバラつきがあってもいい、という意味合いが付与されてたのが良かった。優秀なキャラ≒ダンスが上手い、という構図でセンターがジャンだったの大爆笑だけど納得するしかないんだよなぁwwww
巨人の表現方法も映像を含めて色んなパターンがあったんだけど、各々の演出もダンサーとしての長所と短所もすべて『巨人の不確定性』として映るのもよかったな~~~~~まぁ植木だから踊るんでしょ、って言うのは簡単だけど、同じく植木演出のヒプ見てるおたくとしては外的要因もひっくるめて演出になってる印象を強く感じられてよかったな。
もちろん予算がないとできないものも沢山あったけど、植木演出で照明系以外のものがここまでがっつり作品と噛み合うの奇跡じゃない???こんなことある??
これはちょっと話が逸れるんだけど、『ダンサーにダンス以外のことやらすな』『やらせるならちゃんとした確度をもって提示しろ』って話を無限にしていてですね。
一方で、どのジャンルでもそうだけど『スキルが高い』って判断するポイントが分からない人の方が圧倒的に多いのが『市場』なんですよ。アイドルとか舞台とか若い人間がメインのコンテンツでは特にスキルレベルが玉石混合の集団を見る機会が多いので、消費者でありながらスキル判断できる観客が増えていくと思うんだけど、そういう観客ばっかりの現場ばかりじゃないのも事実じゃないですか。
ダンスってひとくちにいってもめちゃくちゃアスリート競技で、やれどのジャンルの世界大会で優勝しただなんだといっても、そのクオリティを担保できる時間ってその後も継続的な研鑽積んでないとあっという間に短くなっちゃうんだよね。で、さらに難しいことに『ダンスをやってる人間の評価』と『エンタメとしての評価』は全然イコールにならない。これは前者が『スキル』重視傾向にある一方、後者が『構成』重視傾向にある、みたいな話もちらほらしてますが諸説あります。
私は殺陣多めの舞台そこそこ見るので折に触れて実感してるんだけど、『どんなにスキルが高くても、それ一本で食い続けられる席は商業演劇においては極小数』なんだよね。それこそ世界大会で~なんてレベルではないけどダンス経験あります!なんて子はゴロゴロいる、舞台という複合エンタメの場で求められるものがそれ一本ではないことの方が多い。
だからこそ、『ダンサーとして評価されてること』と『舞台に適任であること』『ダンス以外を任せられること』はまったく評価軸が異なる話なんだよなって思うし、植木はその点を分かってるんじゃんと実感した、というのが進撃ミュ観に行ったメンツでの感想会の大半を占めるなどしていました。
ユキ子さんの冒頭ピルエット爆沸きおたくたちだったので致し方ない。
さて、なんだかんだで生でくるむ見るの初めてだったんですけど、あーーーーーーなるほどなーーーーーーーこれは東宝好みーーーーーーって感じだったので、多分だけどネルケはくるむを差し出す代わりに人気作品の版権をもぎ取るとかしてみたらいいんじゃないですかね。知らんけど。
『めっちゃ東宝が好きそうなフラットさ』だった一方で、私は単純に求心顔すきじゃないのでふーん、って感じでしたね。顔以外にはクセ少なめだから使いやすいんだろうなぁ。
ミカサとサシャ、超よかったな。こちらも友人の推しだった星波ちゃんをようやくしっかり見られたし、あんなに動ける子だって知らなかったからめっちゃよかった。
もともとミカサ好きなのでどのシーンも好きなんだけど、訓練兵全員にハッパかける語彙力死んでるミカサめっちゃ可愛くて好きでした。
アンサンブルの女性陣もめちゃくちゃ良かったので、この先続編やる時はアニもクリスタもユミルも必要になるけど、アンサンブルから昇格でも全然アリだなって思った。
ハンジとしての出番は少なめなものの、テーマソングのところでちゃんと梨緒奈ちゃんセンターのダンスあったのにこにこしました。めちゃくちゃ綺麗に踊った後、袖はけてく時はハンジとしてのちょいおもろスキップしてたのほんと好き。身体性の芝居って見てて気持ちいいんだよな。
松田の殺陣を知ってる人間的には『立体機動つけてない方がたぶん速いんだよな……』という気持ちを捨てきれなかったんだけど、走って出ハケするところはさすがの素早さでしたね。はよエレンしばいてるとこ見せてくれ。あと歌上手くなってて良かったと思います。
原作でも一番好きなのはジャンなので、侑くんがやってることにより一切の遠慮なく「めっちゃえっちなベルトつけてる~~~~~~」と思いました。こんな開き直り方でいいのだろうか。
酒飲みながら話してたんだけど、侑くんほんとズルいんだよなぁ…………ジャンの見せ場含めて踊るシーンが『訓練』『エレンとの演説バトル』『ラストのテーマソング』の3つなんだけど、全部魅せ方が違うというか、ダンサーの側面と役者の側面を切り替えて踊ってるのが明確だった。
訓練シーンはしっかり踊ることによって周囲と比較した時のジャンの能力の高さを見せる、演説ではバックにDDB()つけてるので敢えてジャンとしての芝居に寄せて差別化、テーマソングは逆に仔細を流すことでかっちり踊る他キャストと差別化。全部集団の中で一番目立つようにする表現方法を選んでる。
本人の気質もあるけど、ジャンとしてその選択がOKなのがまたズルいんだよなぁ。ダンサーも役者もやってて本人にスキルがないとできない選択肢だし、存在する選択肢を各々選べることも侑くんらしさなんですよね。あれはずりーよ!!!!って酒飲みつつ笑ってましたけども我々。
村田・林野・下尾という長身三銃士がいる進撃ミュは、どのシーン見ても頭ひとつ抜けてデカい人類がいてとてもよかったです。下尾くんのことずーっと見てるけども、いろんなところで演出おじたちに気に入られているおかげでお芝居が上手になっててにこにこしました。お前ら(任意)も下尾くんを見習え。
潤沢な予算がちゃんと使われるべきところに使われてて、どこを見ても確かにこれは令和ナンバーワンの2.5作品としてお出しできるやつやな!!!!!!!と納得。最後に全員揃ってテーマソング歌う、って舞台としてはお馴染みの演出だけど、そのテーマソング自体が次の作戦に向けた支度の時間になってるのも超よかった。極論、作品知ってるとオープニングとエンディングだけで満足できる。
そういう雰囲気の作品じゃないとはいえ、ミュージカルだし1曲くらいめっちゃキャッチーな曲があってもいいんじゃないかな~とは思ったんだけど、リプライズの使い方が大天才だったのでまたしてもケンザの方角を拝んだ。おれたちはケンザの新曲を無限に供給してもらえる世界で生きてる。