愛より重くて恋より軽い

たぶん三日坊主ならマシなほう

『露出狂』感想まとめ

すっかり公演も終わってしまった上に、日程が合わずチーム露1度しか観れなかった露出狂。
お目当ては比留役のかっちゃんこと鈴木勝大くんなので概ね満足な10/6の感想まとめ。

 

 

 

一緒のお仕事3回目という言葉以上に、ほんと中屋敷さんってかっちゃん大好きなんだなっていうのがよく伝わってきた配役でしたね。

アフタートークにて、「比留はかっちゃんっぽくないよね」という中屋敷さんの発言があったけど、同時に「かっちゃんの言葉には強制力、人を従わせる力がある」っていう話が出て、私は観劇してそっちの方を強く感じたので中屋敷さんがこの配役にしたのは分かる……って思った。

同じくアフトでかっちゃんの口からサークラという表現が出てきたのは『なるほどなぁ』という感じだったんだけど、それは比留のことをそう表現するかっちゃんは限りなく他の3人の感覚を持ってるのに、比留をああやって演じられるんだなぁということに対しての『なるほどなぁ』であって、その感覚が腑に落ちたということではないんだなぁ。

この戯曲で描かれてるものって、元々オールフィメール、というか『女子高生』であることはかなり重要な要素なんだな、と感じる一方で、かっちゃんの比留の在り方は明らかに男子の中でしか通用しないものだとも思ったし、その根底の部分にあるのは男とか女とか関係ないものなんだけど、今回の高天原高校サッカー部に関しては男同士だから成立して破綻したんだな、って思えるのは完全にかっちゃんの力だと思う。

鈴木勝大という役者さんは感情を爆発させた時の威力が本当に凄まじくて、特に相手を制する意図を持って発せられる声は、客席にいる自分に向けられていないと分かっていてもめちゃくちゃ怖い。過去何度か、事務所舞台でキャパ60〜80くらいの小さな空間でそれを体験した私は、この感情を単純に『怖い』としていたんだけど、中屋敷さんが言った『強制力』というのはまさしくだなぁと思った。

そんなかっちゃんからサークラという言葉が出てしまったから、ああカラオケボックスに一人で通い続けていた比留の気持ちは、今この板の上にいる中できっと中屋敷さんにしか分からないんだろうな〜と思いながら眺めるアフトでした。あの比留の気持ちを、めちゃくちゃ泣き出した比留のことを『面倒くせえ』で終わらせてしまってはいけないと感じるのは、なにも私が女だから、ということではないんだよなぁ。

多分かっちゃんは比留以外の3人と同様に彼が泣いた気持ちが分からない側の人なのではないかな、と思いつつ、だからこそ中屋敷さんはかっちゃん好きなんだろうな、とも思う。信頼感という言葉は適切ではないけど、そんな比留の気持ちが分からなくても比留になれる役者である、という評価をしてるからこそ、中屋敷さんはかっちゃんに比留を預けられるんだろうなぁ。勇気のある人だなぁと思う。

あのアベックのくだりを書ける中屋敷さんは本当に凄いと思っていて。と、いうのもとてもとてもマイルドになってるけど、あれはつまり「2人1組を作りなさい」ということで、更に言うならあれを一瞬の人間関係の構築や破壊として描けるのは、そう言われて溢れたことのある人だけだと思う。これまでにも何度かアフトやイベントで司会をしてる中屋敷さんを見たことがあって、完全にそのイメージでモノを言って申し訳ないんだけど、私の中ではその経験がある人なのかなぁという印象だった。

いじめられてるわけでも、皆と仲良くないわけでもない。だけど2人1組と言われた時に、誰からも真っ先に顔を浮かべてもらえない人。あのポジションは色んな理由で人が入れ替わり立ち替わるけど、一度比留で止まった理由は根幹としてそれなんだと思う。そうなった時の空気感というのは実際に溢れた当事者でないと分からないから、役柄としても中の人としても役者全員に共有されるものではないし、客席にも100%は伝わらないものだと思う。

100%伝わらないのに書くということは、最初から100%に届けようと作られてないものなんだと思う。その感じがあまりにも私の中での中屋敷さんイメージと合致しすぎてて、アフトでいつものピンクパンサー抱いてないだけでこっちが大丈夫かな…って謎の不安を感じるような人なのに、恐ろしいほど自分の感覚を戯曲にしてる人なんだなって感じた。

 

先輩相変わらずですね、と言われていたけど比留は高校に入って決定的に変わっていて、それを示すのがラストシーンだったと思ってるんだけど、バラバラになるという言葉を真に捉えてるのは比留だけだから、あの3人が同窓会で再会してもそこに比留の姿はないんだろうと思うと本当にこわい話だった。面倒だと言われて最後まで目を背けられ続けた比留の涙の理由は永遠に明かされないし、その涙はきっとバラバラになる前の一つだった時には決して流れないものだったのに。

くだらなくて面白い、という分厚いオブラートで包んだこの戯曲の中身が透けて見えてしまったのは、多分良くも悪くもこれが男性版だからで、きっと女性版で見たらもう少し、女子高生特有の箱庭感のようなものを客席が勝手に補うことですっきりした気持ちで見終われたんだろうなぁ。